日本ラグビーフットボール協会の機関誌「RUGBY FOOTBALL」に当時の「ナンバー」編集長が「オックスフォード大学日本人留学生歴史的トライ」と題する記事を寄稿

オックスフォード大学日本人留学生歴史的トライ

文芸春秋「Number」編集部 今村淳

58年1月から2月にかけて約20日間、栗原達男カメラマンと私は本場のラグビー取材のために英国を訪れた。

“赤い悪魔たちが棲む王国”ウェールズ取材をし、その後今シーズンの開幕当初に来日のオックスフォード大学(オ大)、ケンブリッジ大学(ケ大)にも足を運んだ。両校での取材は、成蹊大学OBの高橋龍さんに通訳兼ガイド役をお願いした。

われわれが奥克彦君、25才と知り合えたのも高橋さんの紹介によるものだ。奥君は、兵庫県伊丹高のFBとして50年の全国大会に2年生で出場し、その後早大に入学し(56年政経学部卒)、ラグビー部にも2年まで在籍していた(全日本SHの奥脇君と同期)が、退部してしまったという。その辺の事情を奥君は、「運動部員なら誰でも1度や2度考えるんでしょうが、私もやはり“ラグビーばかりやっていていいのだろうか”なんて悩んでしまったんです・・・・・・。いまにして思えばやはり最後までラグビーを続けておけばよかったと思いますね」

奥君は在学中上級公務員試験に合格し、外務省に入省。現在は2年間の予定で英国に留学している。

奥君はいかにも真面目な若き外交官らしい態度で各コレッジの案内やオ大ラグビー部の選手諸君とのインタビュー等に協力してくれたり、日本とは「大学」の概念が違うオ大の組織、学生生活クラブ活動などの体験したものでしかわからない話を微妙なニュアンスを含めやさしく、熱心に説明してくれた。

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