続イラク便り



『イラクのイード』2006年1月

イスラム世界でメッカへの巡礼が行われる巡礼月には犠牲祭(イード・アルアドハー)と呼ばれるイスラムの二大祭の一つが祝われます。今年は、1月10日から13日がイードの祭日に当たりました。官公庁はもちろん、オフィスも学校もお休みで、子供たちはとても楽しみにしています。

バグダッドではどのようにイードが過ごされていたのでしょうか。イラクの人に聞いてみました。


「1日は、家族でゆっくり過ごして、後は親戚や友人の家庭を訪ねあって、楽しみました。」


「サッカーのリーグ戦がたけなわですから、試合を見に行きました。」


「子供たちをつれて、チグリス川沿いの近くの公園に出かけました。公園には子供たちの遊具があったり、串焼きなどの屋台が出たりしており、音楽も流れています。チグリス川から引いた小運河にはボートが浮かんでいて、ボート漕ぎをしました。久しぶりに子供たちと外で過ごしたような気がします。」


バグダッドも1月となれば結構寒いのですが、日中は15℃くらいとわりに暖かい日が続いていたので、多くの人がピクニックを楽しんだようです。宗教的な祭ですから、もちろんモスクに行った人も多かったでしょう。


最も人気を集めたのは、バグダッドの中央にあるザウラ動物園です。戦後しばらくは閉鎖されていましたが、園長以下係員の努力もあって再開され、ライオンやクマなど動物も少しずつ増えてきましたが、まだ半分くらいの檻は空だといいます。ボートが浮かぶ池や小さな遊園地などもあって、娯楽施設に乏しいバグダッドの中では子供たちに一番人気と言っていいかもしれません。車で動物園に行った家族は大変でした。動物園自体がそんなに混んでいるわけではないのですが、自爆テロなどを警戒して自動車を厳しくチェックされたため、検問を通り抜けるために最大2時間もかかってしまったからです。

 

バグダッドでは、爆弾テロや誘拐を恐れて子供たちが外に出て遊ぶことに親たちは不安を覚えています。子供と一緒に家族連れで外に出かけることについても常にテロの影がつきまとっています。バグダッドで、外で安心して遊ぶということは子供たちにとってとても貴重なことなのです。幸い、今度のイードの間はバグダッド市民を狙った大きな爆弾テロは起こらなかったようで、ゆっくり祭日を楽しめました。


一日も早く、安心して子供たちが遊べる日々が戻ってくることを祈りたいものです。

 



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